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大統領選挙をついに街で感じ始めた!

大統領選挙をついに街で感じ始めた!

■アメリカ大統領予備選挙
 今、アメリカの大統領選挙の「予備選挙」が、世界中を騒がせている。予備選挙とは、各党の公認候補を決めるための選挙である。各候補は自分の属する党に大統領候補としての指名をしてもらうために、この予備選挙で勝利しなければならない。
 注目はもっぱら民主党の予備選挙に集まっている。それは、歴史上最悪とも言われるブッシュ大統領に疲れた国民(アメリカ人の友人は口をそろえて”tired”という単語を使う)が、11月の本選挙では共和党ではなく民主党の候補者を選ぶであろうという見方が強いためであり、また、共和党では明らかにマケインが指名を勝ち取りそうだからである。世界中が、バラック・オバマ上院議員と、ヒラリー・クリントン上院議員の一騎打ちに注目している。
 毎週、全米のあちこちの州で予備選挙が行われている。予備選挙は州ごとに行われ、1月3日のアイオワから、6月12日のネブラスカまで、息の長いレースである。どうせなら同じ日に全州がやればいい、と思うのだが、アメリカの州は日本の私たちが思っているよりも独立度が高いからか、みんないっぺんに、とはならないらしい(お金がかかるのに!)。

■スーパーチューズデー前夜
 予備選挙の中でも注目されるのがスーパーチューズデーである。スーパーチューズデーとは、多くの州が予備選挙を行う日のことであり、この日に大統領候補者が決まることも少なくないため、とても注目される。今年は、2月5日がスーパーチューズデーであり、22の州で民主党の予備選挙が行われた。
 3日前の土曜(2月2日)、私は友人に誘われて、オバマのラリーに出かけた。場所は、マンハッタンのど真ん中、セントラルパークの一角。その日のラリーは「Women for Obama」とのことで、オバマ氏本人はいなかったけれど、有名な女性の人権活動家や学生が次々マイクを握って、演説をしたり歌を歌ったりして、オバマ支持を訴えていた。合間にかけ声に合わせ、「We need Change! We need Change!」「Obama! Obama!」と皆が叫び、盛り上がりをみせていた。もっとも、NYでは、ヒラリー氏の優勢が伝えられていたからか、マイナスの寒さであったからか、思ったほどの人出ではなかった。スーパーチューズデーの直前なのに300人くらい?やっぱりNYではヒラリー?

■オバマの街頭演説!!!!
 かく言う私は、生でオバマを拝んだことがある。さかのぼるが昨年9月、オバマがNYに来る!ということで、私は授業をほったらかして演説を聴きに行った。
 演説は、NYのワシントンスクエアパークという中規模サイズの公園で行われた。さっそく、ウェブサイト上から入場券を予約。こちらでは、選挙もネット化されており、当日はWEBのチケットを紙に印刷し、入場制限されている公園の入り口でその紙を見せて入場する。その後、セキュリティチェックの列に並んだ。アメリカだし、危険だし、警備とかきっちりしているんだろうなーーと思いながら、満員電車状態の公園のロープの列の中、お行儀良く待ち続けた。ニューヨーク大学のすぐ隣に位置する公園であることもあってか、参加者は見事に若者ばかり。20代がほとんどで、50才を超えている人は一握り、平均年齢30才以下とも思える集団であった。日本ではそんなことはまずない。なお、その日の最終的な発表では、2万5000人集まっていたらしい(おーい、そんなにいたか??)。
 待つこと2時間、オバマ到着!・・・とたんに皆は興奮して、柵を乗り越え、セキュリティチェックも完全に無視して、だーっとステージに向かって走り出していった・・・今までの2時間は何だったんだ?アメリカの警備はどうなっているんだ?・・・みな自由奔放にオバマのいる舞台に走り寄っていった。・・・私も、負けじと走って、かろうじて、オバマが遠くに見え隠れする位置を確保し演説を聴いた。
 彼はとにかく演説がうまい!その演説のうまさ、カリスマ性には驚嘆する。イラク撤退から社会保障から、聴衆に学生が多いことを見越しての学費の値下げ(急増している。この10年間でコロンビアロースクールの学費は年間約2万5000ドル(約300万円弱・1997年度)から約4万5000ドル(約500万円弱・2007年度)となった(怒!))まで、幅広いテーマについて、極めて歯切れ良く簡潔に訴え、最後は、みなを盛り上げて、「Let’s change the world! 」で終わった。ファンでなくても、陶酔する圧倒的な雰囲気であった。

■スーパーチューズデー さて、話を戻そう。2月5日、スーパーチューズデー当日は、駅前などで、OBAMAなどと名前の書いたジャケットを着て「オバマに投票を!」「ヒラリーに!」と熱心に呼びかけている人がおり、私はその都度に「私はアメリカ人じゃないんです」と答えざるをえなかった(こちらでは、外見では区別がつかないので私も声をかけられる)。
 夜、カフェやバーを借り切って、開票速報を皆で見るイベントが学生団体により行われた。さながら日本でのサッカーのワールドカップ観戦である。大きなスクリーンを囲み、速報が進む度に歓声やどよめきが上がった。共和党も予備選挙をやっているが、学生の会話は民主党についてばかりであった。激しく盛り上がるのは、ある州でオバマが勝ったとの報道が流される時であった。
 オバマは特に若者からの支持が厚い。さらに、コロンビアが一応はリベラルと評されている大学だからか、オバマがコロンビア大学の卒業生であるからか、その場で圧倒的な人気であった。NY州はヒラリーの地盤であり、最終的にもNYの予備選ではヒラリーが大差をつけて勝っている。弁護士を目指す若者が集まるロースクールというのは、リベラルな集団なのであろうか。
 もっとも、私が親しくなるアメリカ人は、同じ授業(人権関連科目)を取っていたり、社会問題に興味がある人ばかりである。・・・従って、気づいてみたら私の周りのアメリカ人は皆オバマファンばかりであった。相当熱烈なファンもいて、オバマバッグを買い求め、毎日、コートの胸にオバマワッペンを貼っているとてもかわいい女の友人もいる。アメリカ版ミクシー(face book といいます)の自己紹介欄に、「大好きな人:OBAMA」と書いている子もいる。スーパーチューズデーまでは、みんなして、「オバマきっと無理よね」「大丈夫かしら」と心配していたが、このところの快進撃にみんな笑顔を取り戻している。
 もっとも、アメリカの大統領選の興奮はまだまだで、まだ「町が大統領選で大騒ぎ」というほどにはなっていない。アメリカ人学生たちは大統領選挙の話をしてはいるが、やっと最近、地下鉄などでオバマバッチに気がついたり、学生のロッカーにステッカーが貼ってあるのに気がつくようになった程度である(もっとも、いろんなグッズが売っており、犬に着せるオバマ服まで売っているらしいが。)とはいえ、まだ、選挙は始まったばかりで、今の時期から大興奮になっていては11月の本選挙までもたないのであろう。

■あれこれお国事情
 一大新聞であるNYタイムズが、ヒラリーとマケインを支持すると決定。日本では、大手メディアが名指しで候補者の支持を表明することはまずないのではないかと思うので、すこしとまどった。NYタイムズはスーパーチューズデーの前日に、ヒラリーとオバマの政策の違いについて記事を載せ、「唯一の違いである社会保険制度改革はヒラリーの方がこんなに優れている」と大々的に掲載した。NYという大票田で、投票日前日のこの記事は大変な影響力であろう。
 選挙におけるネットの利用もものすごい。私が一度オバマ選挙演説に参加してからというもの、3日とおかずオバマ陣営からE-mailが送られてくる。YOU-TUBEにも、候補者の支援の演説やら歌やら踊りやらがたくさんアップされている。今回の選挙はYOU-TUBE選挙とも言われたりするようだ(例えば http://www.barelypolitical.com/)。
 などなど・・・。選挙についての情報は日本語でも英語でもあふれまくっているし、事態は時々刻々変わっていく。従って、全体像の解説などはとてもできないが、これからも、現地で体験した町の反応を時折お伝えしていく。
 そして、日本での若者の政治離れの解明を少しでもできたら、等と思っている。日本でもいつの日か、20代の若者が詰め掛けた満員の居酒屋で開票速報を囲んで盛り上がる、とか、平均年齢30歳の2万5000人が政治家を囲んで公園を埋め尽くす、とか、そんな日が来ることを祈って・・・。
                        (2008年 「まなぶ」 3月号掲載)


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「We Need Change!」「We Need Change!」ラリーの盛り上がり

2

3

「Girls for OBAMA.....」

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「私の見た生オバマ」

5

グッズを購入。グッズをつけている人をちらほら見かけるようになりました。

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オバマバッジ購入!

7

散歩のついでにオバマだワン(オバマ服はまだ買ってもらってないのね・・・)。

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